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統合されぬ面白さ
『反体制右翼マガジン・デルクイ01』(相川絹二郎)
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『思想地図』などカラフルなゼロアカ思想誌が並ぶ一角で、黒地に銀文字の表紙を目にした。少々紙質が悪いが、却って目立つ。新たな思想誌かと手に取ると、「反体制右翼マガジン」とあり、思わず目を疑う。

とんでもない雑誌が発刊された。その名も『デルクイ』。お世辞にも洒落ていない。この雑誌の編集者は外山恒一氏である。氏は長年の極左運動を経て、今やファシストを名乗る異色の御仁だ。東京都知事選挙の政見放送における過激なパフォーマンスも記憶に新しい。高い完成度を誇る装丁と「出る杭は打たれる」から採られたと思しき安直な題名とのミスマッチも実に外山氏らしい。

そんな茶目っ気とは裏腹に、内容は硬派かつ豊富だ。 ― 保守と右翼の峻別、「大きな物語」の復権、日本主義による革命、グローバリズムへの代案、地域主義と国際主義の統合など。 ―

執筆者は一部を除けば著名な論客ではないが、彼らの現状批判は鋭い。世間で繰り返される保守・革新の議論を、根底から覆えしてしまおうと真っ向から挑んでいる。主張にしても、てんでんバラバラだ。創刊記念のトークセッションを御一読頂きたい。我が党の党員で「排害社」代表でもある金友隆幸氏をはじめ、アナルコファシスト、自由主義ファシスト、共産主義者などが壇上に並んでおり、よくも議論が噛み合っているなと思うほど。文面の刺激にまかせて読了すると、後で啓示の強烈な矛盾に眩暈を起こすので注意されたい。同人誌といえるかもしれぬが、統一感はない。その点「左右の若き異端派に贈る」という風呂敷の畳み具合は見事であり、決して統合されないところに意味がある。

折角なので、我々の立場を照射し得る3つの論文を紹介したい。まずは、ソフトタッチな国家主義がふんだんに盛り込まれた大石規雄氏の「保守≠右翼」。「右翼」を自認する大石氏は、「右翼」の経験してきた現代史を回想しつつ国民化運動の意義を問う。その上で、アジア主義のような積極的な対外姿勢や、国内の少数派を国民の立場で平等化する水平運動などに否定的な昨今の「行動する保守」ではなく、マイノリティをも「掬い上げ」る立場を強調してやまないが、その論拠は些か情緒的で曖昧な印象を受けた。

続いて、脱北者支援活動でも知られる三浦小太郎氏の文芸評論「?ファシスト?詩人?エズラ・パウンド」。アメリカに生まれ、ヨーロッパに渡ってイタリアのファシズムに共感したパウンドという詩人の存在を、私は始めて知った。三浦氏によれば、近代社会を呪詛するパウンドはファシズムに「『失われた祖 国』の回復」・「反近代と歴史への回帰」を期待していたという。このようなファシズムは、ナショナル、ひいてはエスニックな「共感」が前提となる。その一方、三浦氏はファシズムを「現在の社会体制に対するあらゆる不満分子の集合体」と規定している。そこに矛盾はないのか。このような集合体じたいは何でもありで、それらが現代的な左翼思想、例えば無宗教主義や普遍主義と結び付き、「共感」を排除する方向にも働きかねない。

また、金子宗徳氏の「グローバリズムと対峙するために……」。今や地球全体を覆い尽くそうとする国際資本主義と、その動きを後押しするグローバリズム。我が国においても、エリートの大半はグローバリズムの信奉者だ。経済活動のグローバル化という流れを否定することは不可能であるが、それによって国民の暮らしは豊かになったのか。農産物の輸入自由化しかり移民問題しかり、私たちの社会はグローバル化の痛みを受けている。グローバリズムに疑いを抱く金子氏は、「天皇を中心とする共存共栄」の実現を訴える。確かに、その通りだ。この大目標を実現すべく、我々は最良の手段を講ずる必要があろう。ただ、国民国家を確固ならしめたとして、その一国で国際資本主義に対抗することは可能か。実際の解決には課題も多い。

従来の論壇誌は、変わりばえのしない執筆者が同じような主張を繰り返すばかりで、新しい思想潮流を生む場として十分に機能していない。社会が硬直し、人々も現状維持に慣れてしまった。とはいえ、現代の社会はいい加減現状維持できなくなる。国債発行額増大や安全保障上の脅威、少子高齢化など、これまで長く変化が無かった状況と安定性が支えられなくなりつつある。そんな中、思想界に新しい動きがあれば、やがて既存の社会倫理が再編成される時期も来よう。

我が党是は日本の真の独立である。そのためには、まず旧体制に楔を打たなければならない。打てるものなら、幾つもの杭があった方が良かろう。本誌のような異色の試みが、新生日本の礎となることを願っている。

(あいかわ・けんじろう)新風福岡

『デルクイ』編集部,千坂 恭二,糸圭 秀実,中川 文人,外山 恒一
彩流社
¥ 1,575
(2011-02-21)

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